アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS ASSEMBLE SCIENCE BROS

世界的に大ヒットしたMCU。そこでMARVELは映画ファンにもコミックを読んでもらうため、Avengers Assembleという初心者向けシリーズの連載をスタートさせました。#1~#8ではアベンジャーズガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが共闘してサノスと戦うという胸熱な展開を繰り広げています。今回紹介するSCIENCE BROS編以降は当時のCAPTAIN MARVEL誌を担当していたKelly Sue Deconnick氏に交代。前後の繋がりを意識せずに読める新章が始まりました。ファンから高い評価を受けている氏の描くアベンジャーズにも期待しながら見ていきましょう。
f:id:ELEKINGPIT:20210907172333j:imageAVENGERS ASSEMBLE SCIENCE BROS

なお今回は#9~11、#12~13の2編に分けて紹介させて頂きます。

 

〈#9~#11〉

2000万年前のバクテリアが南極で発見された。だが派遣されたセルゲイ博士含む調査隊全員が消息を絶ち行方不明に。南極の地で何があったのか? 舞い込んだ調査依頼にトニーはある提案をする。
f:id:ELEKINGPIT:20210907183129j:image消息を絶った調査隊の基地。生死すら不明の事態にアベンジャーズが乗り出した。

 

冒頭、トニーとバナーは未来観でちょっとした論争を起こしていました。科学の発展で人類はより良い未来を築けるのか、科学の発展で生じた環境汚染で人類は衰退してしまうのか。正負の側面から科学の未来を論じている時、トニーはある依頼を思い出しました。それがセルゲイ博士らの捜索です。ちょうどいい機会だ、とバナーに「賭け」を提案します。どちらが先にセルゲイ博士を見つけるかという勝負です。負ければバグスタービルからアベンジャーズタワーまで全裸で歩くという罰ゲーム付き。2人はそれぞれチームを組み、早速南極へ向かいました。しかしそこで謎の巨大生物に遭遇。この騒動は単なる行方不明事件でないのでは……? そんな疑念が頭を掠めた矢先、研究所の悲惨な光景を目の当たりにします。
f:id:ELEKINGPIT:20210907220814j:image研究所で待っていたのは苦悶の表情を遺した研究員達。その中にはセルゲイ博士の姿はなかった。

 

こうなっては「勝負」と言っている場合ではありません。残るアベンジャーズのメンバーも招集し、事件解決のために奔走します。トニーは原因を究明するために死体のスキャンを始めていました。結果、体内に研究員達が調査していたバクテリアの仕業だと判明。飲水の中に紛れ込んでいたのです。一方、南極へ向かうキャプテンマーベルとキャプテンアメリカが乗るクインジェットは正体不明の敵に襲撃されていました。キャップは敵の乗る戦闘機へ飛び乗り応戦します。そこに居たのは、ユン・ガン・ハンを名乗る人物とセルゲイ博士の姿でした。
f:id:ELEKINGPIT:20210907225713j:imageユン・ガン・ハンとセルゲイ博士。ユン・ガン・ハンの姿はトニー達が南極で出会った異形の怪物に似ているが……

 

虚をつかれたキャップを巧みに追い込んだユンはセルゲイ博士と共に地下へ潜り込みます。発見したバクテリアを元に作られた血清の最終調整を行うためです。ユンはこの血清で最強の軍隊を作ることを画策していましたが、アベンジャーズの出動という事実にセルゲイ博士は狼狽え始めます。やがて強引に事を推し進めようとするユンに離反、呆気なく殺されてしまいました。1人残ったユンは中国のある村へ向かいます。そのダムへバクテリア入の水を混ぜて放流するためです。
f:id:ELEKINGPIT:20210907230712j:image遂に放たれたバクテリア入の水。急行するアベンジャーズは間に合うのか?

 

〈#12~#13〉

過去の「罪」を償い続けるブラック・ウィドウ。ある日ウィドウの「被害者」遺族に付けていたマーカーの1つから救難信号が発された。ホークアイ、スパイダーウーマンと共にシベリアへ急ぐが、そこには恐るべき陰謀が隠されていた。
f:id:ELEKINGPIT:20210907231158j:image1発の弾丸で失われた命。これが後にある陰謀へ繋がろうとは、当時のウィドウには考えもしなかった。

 

ヒーローになる前のブラック・ウィドウは闇の世界の住人でした。かの祖国の指示に従い、様々な人々を暗殺し続けていたのです。ピーター・アノキンもその1人。爬虫類をヒントにした血清で強力な生物兵器を完成させようとしていた為だと説明されます。当時ピーターにはフィアンセがいました。その人生を壊してしまった罪悪感から、ウィドウは密かに償いのための「マーカー」を付けていたのです。そんなマーカーから救難信号が発せられたとあっては駆けつけない理由はないでしょう。待っていたのはピーターのフィアンセだったアンナと、アンナの子どものパートナーであるカールでした。アンナの子ども、ガリーナが行方不明になったので捜索して欲しいというのです。心当たりがあるとすれば下水道の麻薬取引所。カールは強い正義感から勇み足を踏んでしまったのではないかと推測していました。早速下水道へ乗り込むウィドウ達。待っていたのは奇怪な化け物でした。
f:id:ELEKINGPIT:20210907233201j:image爪と牙を突き立てる化け物達。その中にはガリーナも混ざっていた。

 

戦闘態勢に入るウィドウ達を嘲笑うかのように、奥からある人物が現れました。救難信号を送ったカールその人です。動揺するアベンジャーズにカールは悠然と語ります。ピーターの研究を完成させるためにここで非合法の実験を行っていたこと、その完成も間近であること。そしてウィドウらをここへ呼び寄せたのは、最愛のガリーナへプロポーズをするためでした。ウィドウはガリーナ悲願の復讐の贈り物というわけです。カールは血清の効果が未だ一時的であるため、これを機にガリーナと共にさらなる実験を繰り返そうと提案します。当然アベンジャーズが許すはずがありません。新たに血清を取り出そうとしたカールを何とか阻止しますが、今度は怒り狂ったガリーナがウィドウの喉元を切り裂いてしまいます。
f:id:ELEKINGPIT:20210907235147j:image不意の攻撃で瀕死の重傷を負うウィドウ。いつでも死ぬ準備は出来ていた、とゆっくり目を閉じようとするが……

 

倒れたウィドウへ、ホークアイは咄嗟に血清を打つことにしました。本来この血清は再生医療のために開発された薬だったのです。ウィドウは瞬く間に目を覚ましますが、同時に異形の姿へ変異し始めていました。スパイダーウーマンとホークアイはウィドウとガリーナを連れ出して隔離します。血清の効果が一時的なので、隔離して安全を確保すれば数日で元に戻るのです。
f:id:ELEKINGPIT:20210908001233j:image隔離生活を始める2人。描写は少ないが、地獄のような苦しみが待っていたことは容易に想像できる。

 

アベンジャーズの未来と過去〉

今回紹介した2篇は、「未来」と「過去」がテーマのように感じました。未来への見方で対立するトニーとバナー。密かに過去の償いをし続けていたナターシャ。似た構成の話だったのも、この2つのテーマを強調させたかったからでしょう。どんなヒーローでも生まれた時からヒーローではありません。トニーはアルコール中毒で何度も暴走した過去が足ります。ソーはその傲慢さを正すために地球へ送り込まれています。ハルクは何度も暴走し、町1つを壊滅させたこともあります。皆ナターシャと同様に何かの償いをし続けてきました。しかしだからこそ悲観的な未来が見えてしまうのもまた事実。一方ヒーローとして数え切れないほど人々を救い続けてもいます。だからこそ楽観的な未来も見えます。今や地球の命運をも左右するほどの力を得たアベンジャーズ。その過去を踏まえ、絶望的な未来か規模溢れる未来になるかは全員の手にかかっています。