アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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マイズナー賞2023【2023年のベストアメコミ】

2023年も終わり、多くの方が1年を振り返る時期かと思われます。私もそんな波に乗り、2023年に読んだコミックを振り返っていきたいと思います。昨年読んだコミックの中で最も面白いと感じたものを主観で挙げていく、題してマイズナー賞2023。ささやかな毎年の楽しみにお付き合い下さい。

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去年のマイズナー賞elekingpit.hatenablog.com

 

アベンジャーズ部門〉

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アベンジャーズ部門からは、ULTRON UNLIMITEDを選ばせていただきました。謎が謎を呼ぶ展開から、ピム博士の魂の叫びまでが1つの物語としてまとまった本作。心震える瞬間が何度もあり、ヒーロー作品として求めていたものを読めたという印象が強く残っています。未だウルトロンの産みの親として、アベンジャーズ創設メンバーでありながら不名誉な烙印を押され続けるピム博士。その本心を垣間見ることが出来る貴重な作品が今作と言えるでしょう。

 

〈アイアンマン部門〉

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アイアンマン部門はIRON MAN EXECUTE PROGRAMを選ばせていただきました。エクストリミスを手に入れ増長するトニーの姿が印象的な今作ですが、それ以上に目を惹かれるポイントがいくつもある魅力的な作品です。今作が刊行されてから既に20年近く経過しているため、登場する技術は古く感じてしまうものがあります。しかし逆に考えれば、20年も経っていないにも関わらず一般社会に普及しているテクノロジーは激変しました。IT革命が始まったとされる当時と現代では、例えばパソコンの普及具合や携帯電話が更なる進化を遂げたスマートフォンの登場など、振り返るとその違いは鮮明です。たった20年弱でここまで進化したのですから、「100年先を見通す天才」は未だ私たちでは思い描けない未来のテクノロジーさえ見抜いていたはず。そしてそのリスクも。今作で描かれたトニーは、確かに「エクストリミスを手に入れ調子に乗った」と受け取ることも可能です。しかし、旧世紀では考えられないほど進化する技術レベルにテクノロジーの先駆者は何を思うのか? そんな視点でもう1度読み返したい1作です。

 

〈その他部門〉
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その他の作品からは、SECRET WARを選ばせていただきました。9.11からその後のアメリカの軍事侵攻が記憶に新しい当時に刊行された今作。その内容は怒りよりも内省、自省の色が見えていました。かつて世界の警察として君臨するが如く豪語していたアメリカ。その意識は、マーベルユニバースでもSHIELDがアメリカ発の組織であることなどコミック内でも散見されました。しかし、本当にこれで良かったのか? という後悔、あるいは懺悔のようなものさえこの作品の空気から感じ取ってしまいます。今作の内容を端的に表すと報復と報復の応酬です。それは正義の復讐、「アベンジ」だったのか? それとも私怨による復讐、「リベンジ」だったのか? フューリー長官の工作があったとはいえ、ヒーローに戦争行為をさせた今作だからこそ強烈に提起される問題。今1度それを振り返ることが必要です。

 

〈総合1位〉

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Ultimatum (English Edition)

Ultimatum (English Edition)

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総合1位はULTIMATUMです。駄作として有名になってしまった今作。コマの外で次々と殺され、本編でも無惨な姿で呆気なく死んでいくヒーロー達。何より、ヒーローを大勢殺すためのストーリーと言われても仕方ないほど大味な展開が今作の特徴であることは認めざるを得ません。しかし連鎖する無数の悲劇の中、私が見出したのは懸命に生きるヒーローたちの姿でした。絶望的な状況でも人を助け、またパートナーを思いやり、たとえそのために死んだとしても私は生きるヒーローの姿に感動を覚えていました。また、物語として今作を見るならば、それまで積み重なったアルティメットユニバースの「歪み」を精算するためのストーリーだと考えています。世界最悪のWW2に勝ち抜くために生み出された超人血清からこの世界は始まったといっても過言ではないでしょう。そこから少しづつ、マーベルユニバースや私たちの住む世界とは違う歴史を歩み乖離したアルティメットユニバース。そこには人間のエゴが生み出した様々な歪みがあったと言えるでしょう。その全てが集約されたのが今作なのです。