アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

CAPTAIN MARVEL vol1 HIGHER,FURTHER,FASTER,MORE

ビルダーズとの戦いやその余波で大きく変容したマーベルユニバース。そこでMARVELは、新たにALL-NEW MARVEL NOW! というキャンペーンを始めました。CAPTAIN MARVEL誌もその一環でリランチ(ドラゴンボールドラゴンボールZになったようなもの)を行っています。ライターはKelly Sue Deconnick氏が続投し、ファンから高い評価を得るシリーズとなりました。刻々と変化する激動のマーベルユニバース。その中でキャロルが挑む新たな冒険とは? ファンとして見逃せません。
f:id:ELEKINGPIT:20211008160736j:imageCAPTAIN MARVEL HIGHER,FURTHER,FASTER,MORE

 

関連記事elekingpit.hatenablog.com

 

日本語版関連コミック

 

〈あらすじ〉

突然空から何かが落ちてきた。異星から核弾頭が発射されたのか? キャロルが様子を確認してみると、それは異星人の脱出ポッドだった。しかも中には誰かが入っている様子。どうやらビルダーズとの戦いで母星を失ったナウラニア人の子どもらしい。他のナウラニアの生き残りが住む星トルファへ送り届けるため、キャロルは宇宙へ旅立つことを決意した!

 

〈銀河を駆るアベンジャー〉

キャプテンマーベルの新たな舞台は宇宙。とはいえキャロルは生身で宇宙を行き来できるので、我々の感覚ほど遠いものでは無いのでしょう。当時親しくなりつつあったローディへ別れを告げ、ナウラニア人の子を乗せたスターク社製の宇宙船で早速旅立ちました。しかし宇宙は地球以上に危険な場所。早々に宇宙海賊の艦隊と遭遇してしまいます。流石のキャロルも宇宙船を守りながら宇宙海賊の艦隊と戦える余裕はありません。現れたガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーがいなければ任務は失敗していたでしょう。
f:id:ELEKINGPIT:20211009094502j:image救援に来たガーディアンズ。以降行動を共にする新たな仲間だ。

 

ところがナウラニア人の子はスターロードを見た途端激昴して銃を向けます。スパルタックス王ジェイ・ソンへその首を届けようというのです。その子の名はティク。ナウラニアはビルダーズとの戦いで破壊され、難民のために作られたリングワールド・ビヒモスに避難していました。しかしジェイ・ソンの持ち出した和平交渉は一方的に決裂、見せしめにビヒモスも宇宙の藻屑に成り果てました。ティクはその時両親を失い、脱出ポッドで地球を目指したのです。一方ナウラニアはスパルタックスの支配領内。生き残ったその他のナウラニア人はトルファと呼ばれる惑星へ移動を命令されます。驚かされたのはクィルの方です。トルファといえば毒惑星として知られています。謎の伝染病が蔓延しており、そんな所へ定住すれば間違いなくナウラニア人は全滅してしまうでしょう。キャロルはティクをトルファに送り届けた後、その事実をナウラニアの首長に伝えることにします。
f:id:ELEKINGPIT:20211009102318j:imageティクとクィルのから語られるナウラニアの今。このままではナウラニア人が滅ぶのも時間の問題。

 

トルファに着くと、ティクの再会を喜んだ首長エレニデスの歓迎を受けます。そこでキャロルは、ここトルファが毒の惑星と呼ばれていると伝えると、途端に機嫌を悪くします。そんなことはエレニデスが、ナウラニア人が今正に身をもって知っていること。それでも離れない理由があるのです。トルファに伝染病が蔓延していると知っていればジェイ・ソンの命令を反故してでも別の惑星へ移っていたでしょう。しかし後悔したところで何も始まらない。今やるべき事は、この伝染病の謎を解明して一刻も早く病人を治療することだとエレニデスは言います。ナウラニア人の少ない生き残りを病気に侵されたまま置いていく訳にはいかないのです。
f:id:ELEKINGPIT:20211009104403j:image聖堂を臨時病院として活用するエレニデス。ここで苦しむ人々を置いて逃げるなど論外なのだ。

 

とはいえ、今のナウラニアの国力では自力でこの星から脱出するなど不可能。スパルタックスの助力は不可欠です。しかしジェイ・ソンはエレニデスの主張を一切聞き入れようとはしません。エレニデスへ激怒したジェイ・ソンは3日後に強制退去させると命令します。更に応じなければナウラニアという種族を攻撃すると宣言。全滅か脱出か、ジェイ・ソンが与えた選択肢はあまりにも残酷でした。一方キャロルはトルファへ見覚えのある宇宙船が行き来するのを目撃します。キャロルを襲った宇宙海賊の船です。何故ここに海賊が? この話には裏がある。そう確信したキャロルはティクをはじめ数人のナウラニア人とチームを組み、調査することにします。
f:id:ELEKINGPIT:20211009110816j:image宇宙海賊の後を追い、この事件の「裏」を調査するキャロル達。そこで目撃した秘密とは……?

 

キャロル達が目の当たりにしたのは、宇宙海賊によるヴィブラニウムの密輸でした。ヴィブラニウムといえばワカンダを思い浮かべる方も多いでしょうが、あれはワカンダに落下した隕石に含まれていたもの。本来は宇宙由来の物質です。そしてトルファは貴重なヴィブラニウムを大量に含んだ資源惑星でした。ならば……キャロルの推理は確信に変わります。そして大急ぎでエレニデスへ伝えに行きます。

ビヒモスが破壊され、トルファへ避難したのはナウラニア人だけではありませんでした。センチモーと呼ばれる種族は、自分達の住む惑星以外の環境ではアーマーの中にいなければ生きられません。スパルタックスからアーマーを与えられたセンチモーはその言いなりになるしかありませんでした。ヴィブラニウムは安全に採取すると無毒ですが、手順を守らなければたちまち有毒化してしまいます。ジェイ・ソンはアーマーであらゆる環境に耐えられるようになったセンチモーへ、危険な方法でヴィブラニウムを採取するよう命じます。それらを元にビルダーズとの戦いで壊滅したスパルタックス艦隊を立て直そうとしていたのです。しかしヴィブラニウムの鉱毒はトルファ全体へ流れ出ます。ナウラニア人を苦しめていた毒はジェイ・ソンの命令で生み出されたものでした。事実を知ったエレニデス。しかしスパルタックスに抵抗する力など到底ありません。絶滅を免れるため、エレニデスに降伏以外選択肢は残されていませんでした。
f:id:ELEKINGPIT:20211009113007j:imageパルタックス軍に降伏するエレニデス。1人でも多くの同胞を守るため、暴君に頭を垂れるしかなかった。

 

このままジェイ・ソンの暴挙を許しておけるのか? 降伏の直前、エレニデスへ問いました。

「私は私の仕事をするまで。あなたはここを離れてアベンジャーとしての務めを果たしなさい」

もしキャップなら人々を率いて戦ったことでしょう。もしトニーならビヒモスに代わる人工惑星でも作り上げて、人々ヘ新たな住まいを提供するでしょう。ならば自分に出来ることは? トルファへ押し寄せるスパルタックスの大艦隊を前に、キャロルは考えます。答えは自分がキャプテンマーベルとなった時から明白でした。自分に出来ることはただ1つ。死んでもスパルタックスを足止めし、エレニデスへ降伏以外の選択肢を見出させること。命を賭してナウラニア人の希望となることです。
f:id:ELEKINGPIT:20211009115404j:imageパルタックスの大艦隊と対峙するキャロル。希望の火を灯すため、命懸けで戦うことを誓う。

 

パルタックス軍が自分の民を殴り倒してでも船に乗せようとするのを、エレニデスは黙って見ていることしか出来ませんでした。これで良かったのか? いや、これしか無かったんだ。そう自分へ何度も言い聞かせているように見えました。虐げられる民を見るのも耐えられず、遂には目を背けようとしたその瞬間。上空から大きな光が瞬きます。キャプテンマーベルがスパルタックスの戦艦を落とした爆炎です。ナウラニア人の運命を握り、神の如く振舞ってきたスパルタックス。その戦艦が落とされた。エレニデスにとって、ナウラニア人にとってこれほど象徴的な瞬間はないでしょう。エレニデスは立ち上がります。そして驚くスパルタックス軍とジェイ・ソンの前でキャプテンマーベルへ通信しました。ヴィブラニウム採石場を破壊するように。
f:id:ELEKINGPIT:20211009121117j:imageキャプテンマーベルによって破壊されたヴィブラニウム採石場。ナウラニア人がようやく自由を取り戻した瞬間である。

 

〈希望の象徴〉

人々の希望の象徴となることが新キャプテンマーベルの見出した強さだという話は以前させていただきました。今作でもそれはぶれていません。キャップやトニーと比べ、なおも自分にしか出来ないことを見つける姿こそキャロルの成長した証なのです。「最善のヒーローとは何なのか?」と苦悩することも、自分がキャプテンマーベルに相応しいのかと迷うこともありません。AVENGERS ENEMY WITHINを経てより大きく成長したキャロル。しかしそれで満足するような「キャプテンマーベル」ではないでしょう。今シリーズは、より成長したキャロルが更に上へを目指す物語なのです。それは今作のタイトルにも現れています。HIGHER,FURTHER,FASTER,MOREと。自分の道を見定めたキャプテンマーベルが次に向かう方向とは? これからに期待です。