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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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THOR vol1 GODDESS OF THUNDER【2021年12月の私的ベストアメコミ】

オリジナルシンを終え、ALL-NEW MARVEL NOW!がスタートしたMARVEL。この頃は言わば歴史の転換点とも言える出来事が多くありました。キャプテン・マーベルの宇宙進出、新たなキャプテン・アメリカの誕生etc……中でも話題を呼んだのが、謎の人物によるソーの継承でしょう。その意外性や話題性からか現在では隠しても意味が無いほど有名になってしまっていますが、今回は正体が明かされるまで「謎の人物」ということにしておきましょう。ライターはGOD OF THUNDER誌から引き続きJason Aaron氏が担当、2022年には日本語版も発売されるほど人気なシリーズとなっています。そのため今回は普段より抽象的な内容となってしまいます。ご容赦ください。
f:id:ELEKINGPIT:20211213131858j:imageTHOR vol1 GODDESS OF THUNDER

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〈あらすじ〉

ウォッチャーの目からあらゆる真実を知ったニック・フューリーが囁いた一言で、雷神の槌は地に落ちた。誰もムジョルニアを持ち上げられなくなったのだ。一方これを好機と見る人物も。雷神のいない今、誰が地球を守るのか?

 

〈地に落ちたムジョルニア〉

オリジナルシンの終盤からほぼ地続きで始まる本作、ムジョルニアを持ち上げられなくなったソーはただその場で呆然としているのみでした。アスガルドへ戻ってきたオーディンは敵の罠に違いないと叫びますが、そのオーディンもムジョルニアを持ち上げられません。当然他のアスガルド人も同様です。全能なる神が「相応しき者」でなくなったならば、このハンマーは誰が持ち上げられるのか? その疑問に誰も答えられないまま、オーディンらはムジョルニアを背にアスガルドへ戻ってきました。「謎の人物」がハンマーを持ち上げたのは正にその直後です。
f:id:ELEKINGPIT:20211213134418j:image迸る稲妻と共にムジョルニアを持ち上げる人物。この人物が新たなソーとして戦うことに。

 

ムジョルニアに選ばれなくなったソー。呆然とするその姿はまるで堂々と戦っていた雷神と同一人物とは思えないほど。しかしヴィランにそんな事情はお構い無し。むしろこれを好機と見たマレキスが、ヨトゥンヘイムの巨人軍を率いてミッドガルドへやってきました。その目的はロキソン社が所有するロウフェイの頭蓋骨。ロウフェイはかつてヨトゥンヘイムを治めていた巨人族の王で、ロキの父でした。骨しか残っていない今でも海底から感知できるほど強大なパワーを持ち、ロキソン社が保有。それを取り返すためにヨトゥンヘイムの巨人はマレキスと結託していたのです。ムジョルニアを失ったソーは戦斧ヤンビョンを手に挑みますが、本人の想像以上に戦闘力が大幅ダウン。片腕を切り落とされる大ダメージを負いました。ならばマレキス達を止める者は? ムジョルニアを持つ新たなソーしかいません。
f:id:ELEKINGPIT:20211214183615j:imageロキソン社の倉庫を荒す巨人達。CEOのダリオ・アガーも迎撃しようとするが……。

 

戦いも終盤に向かう頃、戦場に現れたのはムジョルニアを失ったソーでした。義手つけ、戦斧ヤンビョンと共に新ソーをギロりと睨み付けます。新ソーに対してムジョルニアを渡すよう要求したのです。新ソーはムジョルニアの言葉を旧ソーへ突きつけます。「このハンマーを持つ者は誰でもソーの力を得るのだ」と。ならば旧ソーはソーでは無いのか?そんな疑問を読者にすら強く感じさせる一幕です。
f:id:ELEKINGPIT:20211214203445j:imageソーvsソー禁断の戦い。だがムジョルニアが応えたのはただ1人。

 

〈相応しき者〉

実は様々な人物が持ち上げているムジョルニア。ハンマー自身に意思があり、持ち主を選んでいるのでは? なんて与太話は有名です。ところが本編ではそれを与太話と一蹴できないようなシーンもありました。実際ムジョルニアを作ったオーディンすら持ち上げられなかったことから、ハンマーを持てる「相応しき者」はオーディンの基準で選ばれているのではないということが分かります。では「相応しき者」とは何者なのでしょうか? ムジョルニアを持ち上げた人物の状況から推察してみましょう。日本語版のコミックに親しい方なら、キャップがムジョルニアを持ち上げたフィアーイットセルフを思い浮かべるかもしれません。MCUでも名シーンとして語り草になっていますね。このシーン、共通点はキャップが敵に「絶対勝つ」という確信を持っていたことではないでしょうか。信念というより確信という言葉がより近いと思います。勝つ、勝たねばならない、勝ってみせる。そんな勝利への絶対的「信仰」があったのです。そしてソーも自らの行いに確信を持っていたからこそハンマーを持ち上げられ続けたのではないでしょうか? 何らかの絶対的な信仰心こそがハンマーを持ち上げさせていたのかもしれません。

では何故ソーはハンマーを持てなくなったのでしょうか? ソーの中にある信仰心が揺るがされたから、何らかの疑惑を拭えなかったからでしょう。(今話が連載された当時は)ニック・フューリーがソーへ囁いた一言は不明でした。たった一言でソーの絶対的信仰心を拭いきれない疑惑を変えた一言とは? 今後も読み進めるしかありません。