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MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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STAR WARS VADER DARK VISIONS #2 UNACCEPTABLE

様々な視点から「ダース・ベイダー」を描く、DARK VISONSシリーズ。惑星の英雄として称えられた前回に続き、今回はある帝国将校から見た「ダース・ベイダー」の物語です。皇帝の右腕として絶大な権力を持ち、また帝国樹立期には積極的にジェダイ狩りを行ったベイダー卿。正に帝国建国の立役者、英雄の1人でしょう。ではそんなベイダー卿は、帝国軍将校にどのような目で見られていたのでしょうか?
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〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

失敗は許されない。反乱軍のスパイが秘密兵器の設計図を持ち出し、脱出を図った。

帝国軍司令官のタイラックスは、兵器工場の居場所がバレなかったと知り安堵していた。しかしそこへ、ベイダー卿が着艦するとの連絡が。

ベイダー卿が到着するまでに何としてもスパイを捕まえなくてはならない。ベイダー卿の前で、失敗は許されない。

 

〈死の代名詞〉

宇宙を裂くような光弾が飛び交っていました。反乱軍の戦闘機を追うのは帝国軍のスター・デストロイヤー。しかし反乱軍の戦闘機は腕の立つパイロットのようで、光弾をするりするりと避けていきます。とうとう姿を見失ったスター・デストロイヤーは、追撃を諦めざるをえませんでした。タイラックス司令官は、部下に状況を報告させます。逃したのは反乱軍のスパイ。帝国軍秘密兵器の設計図を盗み出し、今頃基地へと向かっているのでしょう。しかし幸いにして秘密兵器工場の位置までは分からなかったようです。設計図を盗まれたのは痛手なものの、肝心の兵器製造元がわからなければ、兵器を作ることは可能。タイラックス司令官はひとまず安堵します。ところが、報告を受けた皇帝がベイダー卿を遣わすとの連絡が入り、タイラックス司令官の平穏は一瞬にして崩れ去ってしまいました。タイラックス司令官は、かつてベイダー卿が上司を惨殺している場面に居合わせていた唯一の生き残りなのです。失敗すれば今度は自分が殺される。何としてもスパイを見つけ出さねばなりません。
f:id:ELEKINGPIT:20220622224645j:imageタイラックス司令官の目の前で起こったベイダー卿による惨殺。ベイダー卿の前では失敗=死なのだ。

 

ベイダー卿の着艦までそう時間はかからないはず。スパイの針路を推測したタイラックス司令官は急ぎスター・デストロイヤーのコースを変更。予想通り反乱軍の戦闘機を発見します。しかしそこは小惑星帯。スター・デストロイヤーでは進むこともできません。そこでタイラックス司令官はTIEファイター部隊を出撃、奇襲攻撃を仕掛けます。しかし反乱軍のパイロットは中々のやり手のようです。付近の惑星へ急降下してやり過ごそうとしました。その惑星は砂嵐に覆われた惑星。簡易的な作りのTIEファイターでは到底突破出来ないはずですが……ここでタイラックス司令官の脳裏にベイダー卿の姿が浮かびます。たまらずTIEファイターを全機出撃させ、数の暴力で撃ち落とし生け捕りにしようと画策。とはいえこの砂嵐地帯ではTIEファイターはロクに飛ぶこともできません。戦闘機の砲火に焼かれるのはもちろん、味方と衝突する者、視界不良で地面まで真っ逆さまに墜落していく者まで現れます。タイラックス司令官が次に報告を受けたのは、TIEファイター部隊全滅の報せでした。こうなったら作戦は中止、すぐにでも引き返すべきでしょう。しかしタイラックス司令官の頭はベイダー卿の恐怖ばかり。TIEファイター部隊が全滅したならば、小惑星帯ヘ再びやってきた戦闘機をスター・デストロイヤーで直接追いかけるまでです。小惑星に何度もぶつかりながらなんとか後ろをついていくスター・デストロイヤー。そんな無茶ばかりしていれば、待っている未来は1つしかありません。
f:id:ELEKINGPIT:20220623102007j:image死にゆくスター・デストロイヤーの中でベイダー卿と出会ったタイラックス司令官。失敗は許されない。

 

〈帝国の執行人〉

気に入らない人物やミスを犯した人物を容赦なく処刑するベイダー卿。帝国将校はその姿を恐れ、タイラックス司令官のように著しく判断力を損なう者までいるほどでした。しかしタイラックス司令官が恐れていたベイダー卿の姿と、私達がよく知るベイダー卿の姿は少し違うように感じます。ではその違いとは何だったのでしょうか?

まずは私達の想像するベイダー卿から見ていきましょう。EP3シスの復讐にて描かれたムスタファーの決闘にて、アナキンはオビ=ワンへ激しい憎悪を抱くようになりました。以来ベイダー卿は憤怒の化身ともいうべきほど怒りを振りまいており、カノンでもレジェンズでも、地の果てまでジェダイを追っては殺す様が見られました。そんなベイダー卿が部下を容赦なく殺すのは、まさに黒衣に包まれた怒り故と言っていいでしょう。自分でもコントロールできないほど激しい怒りは、やがて漏れ出るように容赦なく部下まで降り掛かったのです。一方、タイラックス司令官の想像するベイダー卿は全く違いました。その姿は言うなれば死刑執行人。肯定にかわりミスした人物を容赦なく殺す人物に見えていたのです。