アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

AVENGERS(1998)#23〜#25

ウルトロンとの一大決戦を終え、小国を救ったアベンジャーズ。しかしアベンジャーズに休息の暇はありません。次なる敵は、神の力を持つ人々。ソーにさえ匹敵するパワーを持つ相手にアベンジャーズはどう戦うのでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20230422102604j:image

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

ニューヨークに現れた謎の宮殿。現れたのは、超パワーを誇るジャガーノートだった。アベンジャーズに助けを求めに来たのだ。空を飛ぶあの宮殿から、神と同等の力を持つ敵が何人も狙っている。その目的は世界征服。恐るべき敵にアベンジャーズは戦いを挑むが……?

 

〈最強vs最凶〉

束の間の平和も訓練に勤しむアベンジャーズジャスティスの怪我も完治し、チーム全体の活気がより増したよう。しかしそんなアベンジャーズを悩ませる問題がありました。窓の外を見ると、今日もアベンジャーズマンションの門扉の前で大勢のデモ隊が押しかけています。ヤジのように飛び交う怒鳴り声は、多くが「アベンジャーズに黒人を」「ミュータントは等しく除名を」という内容でした。市民のために立ち続けるアベンジャーズですが、これには頭を抱えます。差別反対と人種差別を同時に掲げるデモにまで時間を割く余裕はないのです。特にミュータント排斥運動は根も葉もない噂が発端。しかしそれをどれだけ主張したところで止まるものではありません。ひとまず静観するしかないでしょう。どれほど強力な敵と戦ってきたアベンジャーズも、この陰謀めいた話には打つ手がありませんでした。
f:id:ELEKINGPIT:20230422230443j:imageアベンジャーズマンションの前に大挙するデモ隊。人種差別と差別反対を同時に掲げる主張にアベンジャーズは困惑していた。

 

そんなある日、アベンジャーズマンションにエマージェンシーのアラームが鳴り響きます。ニューヨークに空中宮殿が現れたと通報があったのです。現場へ急行すると、ニューヨークを見下ろすように古代ギリシアの神殿のような建物が浮かんでいました。そしてその麓には、誰にも止められない超怪力を誇るジャガーノートが。どうやらジャガーノートと空中宮殿は何か関係があるようです。ジャガーノートアベンジャーズを見つけると、真っ先に駆け寄ってきました。助けて欲しいというのです。ジャガーノートによると、あの空中宮殿は神に匹敵するパワーを持った組織、エグザンプラーズの本拠地だと言います。エグザンプラーズは社会からつまみ出された、いわゆるはみ出し者で構成された8人のチームです。ある日ジャガーノートが神の力を与えるあるアイテムに出会うと、エグザンプラーズはメンバー全員にジャガーノートと同じように神の力を与えるマシンを開発。こうしてエグザンプラーズは人類を超えた最強の力を手にしたのです。しかしジャガーノートはこれに離反。世界征服という目的も力の利用もジャガーノートには賛成できないものです。エグザンプラーズはこの行動に激怒し、ジャガーノートを裏切り者として粛清しようとニューヨークへ現れたのでした。ジャガーノートを守る為にもエグザンプラーズと戦おうとするアベンジャーズですが、その実力は想像をはるかに上回っていました。高層ビルを瓦礫の山に変え、空中宮殿から降りることなくアベンジャーズを制圧してみせたのです。ジャガーノートさえ一矢報いることもままならず、第1ラウンドはアベンジャーズの完全敗北で幕を閉じました。
f:id:ELEKINGPIT:20230424153821j:imageジャガーノートを連れ去るエグザンプラーズ。神に類する力を手に入れた敵に、アベンジャーズさえ敵わない。

 

エグザンプラーズを放っておけば、ジャガーノートどころか人類全体が虐殺されかねない。アベンジャーズは体制を整えた後、すぐさま空中宮殿へと向かいます。確かに敵は強力無比。それでも2度目の敗北は許されません。アベンジャーズはノヴァ、スパイダーマンハーキュリーズを加えいよいよ空中宮殿へ乗り込みます。迎え撃つエグザンプラーズ。空中宮殿内は光線が飛び交い力と力がぶつかり合う、まさに混沌の戦場となりました。それでもやはり、エグザンプラーズの力は圧倒的。誰にも止められない最悪の敵でしょう。ついには捕えられるアベンジャーズ。地球最強のヒーローチームでさえ勝つことは出来ないのでしょうか? 敗北の許されない第2ラウンド、勝利の鍵はキャプテン・アメリカにありました。確かに力では敵わない。ならば最後に残った人間性に訴えるのです。確かに今のアベンジャーズでは最弱かもしれない。しかしキャプテン・アメリカの不屈の信念ならば、敵を貫く弾丸にだってなり得るのです。
f:id:ELEKINGPIT:20230424155123j:image拘束されたアベンジャーズ。唯一免れたキャプテン・アメリカに世界の命運が託された。

 

〈力の使い方〉

アベンジャーズ、エグザンプラーズ、民衆……etc今作には多くの「力自慢」が今作を跋扈していました。エグザンプラーズが求め、多くの人々が恐れまたは憧れたものの正体とは?

今作には多くの力を持つ者が現れました。神に匹敵するエグザンプラーズ、地球最強のアベンジャーズ、そして民衆です。エグザンプラーズは言わずもがなでしょうか。元々社会のはみ出しものであったメンバーを誰にも止められない戦士に変えたエグザンプラーズ。どんな相手も蹴散らす最強の力を持つのはエグザンプラーズでしょう。そして民衆も大きな力を持っています。民主主義国に住む限り、人々が多く集まった民衆は現状を維持するか変えうる力に長けています。そしてそれは決して選挙期間中にのみ使える力ではなく、今作のように大勢が集まることでより大きな力を得ます。両者の力は魅力的、ですがアベンジャーズならばあのような力の扱い方はしないでしょう。アベンジャーズは力による現状変更を許さず、また強すぎる力を無闇矢鱈に振り回すことはありません。どちらも自分が主体となり、力を奮った結果相手がどうなるかを考えていないのです。エグザンプラーズはもちろん、民衆もです。主義主張を押し倒すことは立派なことですが、そのために差別を容認し、果ては差別を運動として主張したのですから。一方アベンジャーズは、他人を守るために力を使います。力を使う時はいつも誰かのため。やろうと思えばエグザンプラーズのように世界征服を目指すことも、民衆のように集団で主義主張のために攻撃することもありません。本来、力とはこのような使い方のためにあるのでしょう。強すぎる力は他者のために。それがヒーローへの第1歩かもしれません。