アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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ULTIMATE ORIGIN

スパイダーマン、FF、X-Men、アルティメッツ……今やアルティメットユニバースにも多くの超人が誕生しました。宇宙人や別次元との戦いも描かれ、ユニバースの広がりを感じさせる場面も多々ありました。そんなアルティメットユニバースの原点とは何なのでしょうか? そもそもいまこの世界に広がる超人とは? 超人誕生の起源に迫る時、世界の根本を揺るがしかねない秘密と出会うことになります。残酷で受け入れ難い現実と、読者は向き合わねばならないのです。
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〈あらすじ〉

1942年。ここから全てが始まった。21世紀にヒーローチームが誕生するまで、超人の歴史は世界から隠されながら確実に刻まれていた。そして現在、世界中に現れた謎のモノリスは語りかける。責任を取る時が来たのだと。

 

〈究極を目指して〉

1942年になると、ヨーロッパは火の海になっていました。第2次世界大戦と呼ばれる戦争は多くの人々を殺し、人を殺すために科学はそれまでより何歩も先へと進むようになります。ニック・フューリー2等兵はシチリア島での作戦に参加していました。同じ部隊のフィスク、ジェームズ・ハウレットは家々の金品を漁っては盗むばかり。3人は案の定憲兵隊に見つかり連行されてしまいます。ところがフューリーだけは別の場所へ連れ出されたではありませんか。拘束されたフューリーはそのままラボに入れられ、椅子に縛り付けられてしまいました。出迎えたのはアースキン博士とその助手。端々から聞こえる話を統合すると、どうやらアースキン博士はプロジェクトリバースなる計画を主導しており、人を超えた超人を生み出そうとしているようです。ところが問題はその方法。フューリーへなんの説明もないまま血清を投与しようとします。血清が全身を駆け巡り、フューリーは熱くなる体に思わず大声を出し暴れ始めます。するとどうでしょう。厚い金属で作られた枷を破壊したのです。フューリーはそのまま銃を取り、強引に脱出してしまいました。
f:id:ELEKINGPIT:20230628152004j:imageフューリーへ血清を投与しようとするアースキン博士。この瞬間から歴史は動き始めた。

 

一方カナダではコーネリアス博士がハウレットの遺伝子を解析する途中、偶然にもあるゲノムを発見します。この特殊なゲノムを活性化させると特殊な能力が発現するのです。科学によって人類は突然変異、あるいは進化する。コーネリアス博士はハウレットをミュータント・ゼロとして監禁、極秘の人体実験を行うようになります。一方フューリーの脱走を許したアメリカは、次なる被験者を探していました。新たに見つけたのはスティーブ・ロジャースと呼ばれる青年です。この青年は兵役中にも関わらず、虚弱体質故か未だ本国に留まったまま。それでも強い愛国心を見出され、アースキン博士の計画に参加することとなりました。肝心の血液検査の結果は良好。アースキン博士はこの青年に血清を投与することにしました。結果は良好どころではありません。目に見えて体格が増し、血清に最も適合したことが分かります。ところがその瞬間。アースキン博士はナチスのスパイにより射殺されたではありませんか。スパイは即刻捕らえましたが、超人血清の作成方法はほとんど書類を残しておらず、スティーブ・ロジャースは最初にして最後の完璧な超人となったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20230628154843j:imageティーブの目の前で射殺されるアースキン博士。キャプテン・アメリカの誕生と共に、それ以降の超人兵士が永久に失われた。

 

そして時代は巡り、終戦より何年もの月日が経過。アメリカは戦争に勝利したもののキャップは戦死したと考えられていました。エリック・レンシャーは両親が所属する研究機関からウェポンXなるものを発見。3歳の頃から能力が発現していたエリックは、この機関がミュータントを差別、人体実験するものだと推測し親諸共破壊し尽くします。以降はエグゼビアと知り合うようになり、いつしかその夢を語らうほどの絆を育んでいました。エリックの夢は、自分たちと同じように何らかの能力を生まれながらに持つ、言うなればミュータントが住む国を作ること。既に何人かの同志を集めサベッジランドにて生活を始めていました。一方エグゼビアは、いつしかミュータントのために学園を開き、力の使い方の教育が出来ればと考えていました。2人は自分たちの夢が妄想で終わらないよう少しずつ、確実に歩み出していたのです。しかしそれから約30年後、2人は思想の違いが埋められず、マグニートーとなったエリックはエグゼビアをサベッジランドから追い出してしまいました。革命には犠牲がつきもの。神に選ばれたミュータントこそ地球を支配するマジョリティへと導くべきだと過激思想に染まっていたのです。
f:id:ELEKINGPIT:20230630145553j:image夢を語らうエリックとエグゼビア。2人の夢は野望となり、ミュータントという種族を分断する要因になった。

 

エリックとエグゼビアが決別した年、アメリカではある計画が復活していました。プロジェクトリバース。新たなる超人を作ろうとしていたのです。様々な紛争から生き残りSHIELDの長官となっていたフューリーは、バナー博士やピム博士など、アメリカ中から名だたる科学者を集め血清の再現を以来。自らの血をキャプテン・アメリカの血液と扱いサンプルを提供。科学者達は日夜研究に励みます。最初に完成させたのは、バナー博士でした。バナー博士は完成させた血清に絶対の自信を持っているようで、周囲の制止を無視してでも自分の体で実験を強行。現れたのは新キャプテン・アメリカ……ではなく、緑色の怪物とでも言うべき巨人ハルクです。変身が解けたバナー博士は瓦礫の山と化した景色を呆然と見つめるしかありません。一方フューリーは違法に活動している軍事施設の徴発に勤しんでいました。失われたはずのウェポンX計画が生きていたのです。研究者を尋問したフューリーは驚くべき事実を聞き出します。ミュータントの真実です。コーネリアス博士が大戦時代に発見した、特殊なゲノムを活性化させると超能力を覚醒させる原理は、既に一部の科学者へ出回っていました。この軍事施設もその1つ。特殊なゲノムを活性化させ、ミュータントを生み出すのが目的です。ミュータントとは人為的に生み出された改造人間なのです。衝撃の真実を知ったフューリーは、施設を焼き払いその日の出来事を胸の奥へ隠します。
f:id:ELEKINGPIT:20230701023014j:image研究所を爆破するフューリー。ミュータントは突然変異ではなく改造人間だったという真実を闇へ葬ろうとした。

 

そして現在。世界中に現れた謎のモノリスに、ファンタスティック・フォーもアルティメッツも首をかしげていました。どれだけ攻撃しても傷1つつかないそれは、宇宙から来たこと以外さっぱりかりません。地球で類を見ない大天才のリードも今回ばかりはお手上げ状態のようです。その時です。モノリスが赤く発光し、近くにいたスーザンを乗っ取ったではありませんか。スーザンを乗っ取ったモノリスは静かにゆっくりと語りかけます。モノリスの名はウォッチャー。災厄が訪れる前兆になると必ず現れるという謎の存在です。今回も例に漏れず厄災が来ると分かって出現した様子。更にモノリス、ウォッチャーは続けます。大戦時代以降急速に発展を遂げた科学の責任を取る時が来たと。代償を払う時が来たと言うのです。具体的には何が来るのかも分からないが、とにかく世界を揺るがす規模の災いが近いうちに現れるのは確か。ウォッチャーの存在と不気味な語り口、モノリスがそれを裏付けるかのように佇んでいました。
f:id:ELEKINGPIT:20230701025530j:imageスーザンを使い厄災の予言をするウォッチャー。世界が危機の到来を知ることとなる。

 

〈究極の兵器〉

アルティメットユニバースの歴史を辿った本作。全ての始まりは大戦時代、超人兵士を作ろうと行われた様々な実験がきっかけだと明かされました。そしてミュータントもまた大戦時代の研究がきっかけで生まれた改造人間だと分かりました。この世界の超人は、皆アメリカがかつて戦争に勝つために産んだ超人兵士の延長線なのです。一般人の能力を遥かに凌駕した兵士の量産、即ちこの世界の超人とは兵器の延長線といっても過言ではありません。戦争に勝つための道具として生み出したのですから。この世界の超人は兵器として生み出された。では最初からヒーローなどいなかったのか? それは決して違います。例えばアルティメッツは、未熟な面も目立つものの。世界の平和を守る使命は真っ直ぐ果たそうとしていました。SHIELDやフューリーから自立することもそうでしょう。単なる人間兵器ではそのような背信とも取られる行動は出来ません。またX-Menも差別という悪と戦い続けています。確かに超人の由来は兵器かもしれません。しかしそれがどんな由来であろうと、誰かを助けようと動き出せば誰もがヒーローになれるのです。