アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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STAR WARS SCREAMING CITADEL【2023年12月私的ベストアメコミ】

DOCTOR APHRA誌がスタートし、更なる展開を見せるスターウォーズコミック。今作はそんなDOCTOR APHRA誌とSTAR WARS誌が早くもクロスオーバーした作品です。VADER DOWNのような派手な展開は少ないものの、代わりにルークの成長やアフラとの関わりにぐっと迫った物語となりました。映画本編では描けない、コミックならではのストーリーは読み応え抜群です。
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〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

若きスカイウォーカーは苦悩していた。ジェダイナイトの称号を得るには、他のジェダイから訓練を受けるしかない。しかしこの銀河に残るジェダイはほとんどが殺されているのだ。

ドクターアフラは閃いた。永遠のルァの思念が入ったクリスタルを起動させるには、フォースの導きが必要だ。この銀河でフォースを扱える人間も今や数少ない。

2人が再会したのは必然だった。しかし、今や貴重なフォースユーザーを狙い銀河もまた蠢いていた……!

 

〈真のジェダイへ〉

R2を捜索するルークは、さらなる強さを求めていました。今のルークはライトセイバーを振るいフォースを扱う、滅びたはずのジェダイを彷彿とさせる戦闘力を持っていました。しかし真のジェダイと比較すると、遠く及ばないのもまた事実。ルークはパダワンからジェダイナイトへ昇格し1人前の実力を身につけようと考えていました。しかしジェダイナイトへ昇格するには、ジェダイナイトからの承認が必要です。絶滅したジェダイに認められなければならないのです。途方に暮れるルーク。そこに目をつけたのがドクターアフラでした。永遠のルァという至宝を手に入れたアフラ。しかしフォースの使い手でなければ永遠のルァが封じ込められたクリスタルも無価値同然です。そこでルークを唆し、永遠のルァの力を解放しようと考えていました。アフラを訝しみながらも、今はベイダー卿に追われる身であることからその言葉を信じることにしたルーク。ところが永遠のルァを解放する方法なんてルークには分かるはずがありません。途方に暮れるルーク。しかしアフラは当然これも予測済みです。ここでアフラは怪しげな話を持ちかけます。クタッザンの王に会えというのです。クタッザンの王は1年に1度、退屈しのぎに各地の人々から話を聞き、最も面白いと感じた人の願いを叶えるというのです。まるでおとぎ話のような体験をしてきたルークなら適任だろうとアフラは言います。クタッザンの城は多くの人が願いを叶えてもらおうと集まっていました。礼服に身を包み王の前に立つルーク。クタッザンの王はルークがフォースユーザーだと知った途端、願いを叶えるのはルークにすると即決。早速明日の会食を望み、他の客を帰らせます。クタッザンの王は恍惚としていました。ジェダイを食すのは何年ぶりだろうか? あの時の味を想像するだけで笑みがこぼれてしまうのです。
f:id:ELEKINGPIT:20231231024645j:image明日に備え「食事」を始めるクタッザンの王。腹黒く策を練り始める。

 

会食に招待されたルークとアフラ。皿に乗っていたのは、恐るべき昆虫でした。アバーシン・シンビオート。催眠粉を散布することで対象の精神をコントロールする危険生物です。なんとクタッザンの城はアバーシン・シンビオートの巣だったのです。本来この虫は1年ほどで寿命を迎えますが、王の力で生きながらえている様子。命懸けで逃げ出す2人。城を出ると、ルークを助けにソロやレイアが待っていました。事情を説明しアフラと共に逃げ出そうとする一行。しかし簡単に振り切れる相手ではありません。なんとアバーシン・シンビオートの力でソロが寄生洗脳されてしまいます。洗脳を解除させる方法は簡単。大元の支配主である王を倒せば良いのです。ところが城兵の戦闘力はずば抜けており、集団ではルークさえ太刀打ちできないほど。ルークも敵に捕まってしまいます。ブラスターと催眠粉が飛び交う戦場と化した城で、アフラだけは王と謁見していました。約束通り願いを叶えてもらおうとしていたのです。王の手でアフラも使用可能になった永遠のルァ。あとは1人逃げ出せば良いでしょう。そう考えるアフラにルァが語りかけます。珍しく裏切った事へ罪悪感を感じていること、そしてそんな自分へ苛立っていることを。アフラは踵を返します。王を奇襲するアフラ。勝算はありました。王ならばルークを寄生させ支配下に置こうと考えているはず。しかしルークはフォースユーザー、そう簡単に支配されるはずがありません。アフラの読みは当たっていました。強烈な精神力で寄生しようとした昆虫を逆に従えたルーク。今、アバーシン・シンビオートは2人の王が支配していました。クタッザンの王とルークです。頂点を決めるためにも2人は戦うことになりました。
f:id:ELEKINGPIT:20231231031341j:image同じ王として精神世界で戦い始める2人。そこへ介入するようにルァが精神世界へ現れる。

 

〈2人にとっての帝国〉

生物による洗脳という展開は、スターウォーズに限らず多くの物語が既に行った手法でしょう。洗脳され味方と戦わせる……というのは古臭ささえ感じるほどです。しかし今作では、そこに生物競争やそのピラミッドの要素を取り入れることで今までにない味付けに仕上げていました。また、シリーズオリジナルキャラクターであるドクターアブラが主役級に抜擢されているのですから、新たなる風を吹かせようとしていた当時の空気が伝わるというものです。今作で浮き彫りとなったルークとアフラの違いも注目すべきでしょう。帝国を打ち倒そうと燃えるルークを冷ややかな目で見るアフラ。2人の立場の違いは、帝国=悪という前提がありながら決して交わることの無い異なる思想に現れています。スターウォーズという物語に新たな視点をもたらしたドクターアフラ。ルークやベイダー卿と単に対比するためだけのキャラでないことは、読めば読むほど鮮明になるでしょう。