アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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IRON MAN #173〜#177

オバディアの陰謀でスターク社が買収されてしまった前回。しかしオバディアの策略が見事にハマったとはいえ、世界的な大企業をあっという間に買収する手際の良さには驚いた方も多いのではないでしょうか? そう、この買収劇には協力者が存在していたのです。意外すぎる協力者の正体とは? その真相が明かされます。
f:id:ELEKINGPIT:20220225202445j:imageIRON MAN #174

 

前回はこちらelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

オバディア・ステインの陰謀はついに完遂された。スターク・インターナショナルはステイン・インターナショナルと名を変え、会社の財産も全てオバディアに属した。一方トニーは行方不明に。富も地位も帰る家も失ったトニーに再起の時は来るのか?

 

〈アイアンマンをめぐって〉

かつてトニーが座った椅子に腰掛け、会社から「スターク」の文字を取り払ったオバディア。早速アイアンマンへアーマーを引き渡すよう要求します。オバディアの理屈では、アーマーはスターク社が開発したスターク社の所有物であり、今は自分にあるというのです。当然ローディはこれを拒否。それでもオバディアはほくそ笑みます。オバディアはトニーがアーマーを隠していた秘密ラボをついに見つけたのです。ローディが気づいた時には既に遅く、オバディア直属の部下が行く手を阻みます。しかし秘密ラボのセキュリティはスターク社施設の中でも最も堅牢でしょう。セキュリティの解析すらまともに進まず、オバディアは壁を破壊することでラボの中にあるアーマーたちを強奪しようとしました。一方ローディも、ヒーロー活動を始めた時からサポートしてきたアーウィン博士の協力もあり、地面を掘って地下からラボへ入る作戦に。両者の強行作戦はほぼ同時に達成されます。オバディアは新たな「ナイト」をアイアンマンを戦わせました。以前トニーが打ち倒した「ナイト」よりも大幅に強化されており、ローディでは勝てるかどうか分かりません。両者互角の戦いが始まります。しかし突然、周囲が暗闇に包まれました。停電や日没による暗闇ではありません。これはブラックライトと呼ばれる黒い光を当てられたのでしょう。ブラックライトに隠れてアーマーを強奪する作戦か? ローディはアーウィン博士へ急ぎ緊急射出装置を作動させるよう連絡します。これはオバディアにとって予想外でした。アーマー達は一瞬で視界の外まで飛んでいきます。
f:id:ELEKINGPIT:20220226005501j:image超高速で空を駆けるアーマー達。トニーの残した技術と作戦の勝利だった。

 

これに苦虫を噛み潰したような顔を浮かべたのは、オバディアだけではありません。わざわざオバディアの買収工作を援助したのは、あのアーマー達を手に入れるためだったというのに。SHIELD長官のニック・フューリーは、オバディアに任せるのはダメだったと自らもアーマー捜索を開始。SHIELDのレーダーですぐさまアーマーの行方を捕捉しました。またアイアンマンへアーマーの引き渡しを要求。アーウィン博士は困惑しますが、ローディはSHIELDならばありうると納得します。DEMON IN A BOTTLEではSHIELDがスターク社の情報を集めていると発覚しており、また別の話ではSHIELDがスターク社の株を独占して実質的な経営権を牛耳ろうとした過去もあります。ローディは当然SHIELDの要求を拒否。アーマー達の元へ向かいます。そこは大西洋、海洋人アトランティス人の中でも危険な一派が支配する海域でした。
f:id:ELEKINGPIT:20220226011608j:imageアーマーを見つけたアトランティス人との危険な戦いを繰り広げるローディ。SHIELDとアトランティス人からアーマーを守れるのか?

一方行方不明になっていたトニーは、路上生活を送っていました。そこで出会ったのは、戦争で怪我を負った退役軍人の路上生活者です。トニーに助けて貰った恩から安酒を分けてしばらくともに生活することに。トニーはそこで路上生活のノウハウを学びますが、ろくに口をきこうとしません。雨に降られてもボーッと虚無を見つめたまま。雨の度に戦争の古傷が痛むと言う路上生活者も心配になり、トニーを自分の「家」であるダンボールの中へ迎え入れます。雨が止むと、ダンボールは濡れてボロボロになっていました。「自分のナワバリ」と呼ぶほど大切にしていたダンボールをボロボロにしたことを謝るトニーへ、路上生活者はまた新しいものを探すだけだと言って去っていきました。
f:id:ELEKINGPIT:20220226014352j:imageわずかな時間共にすごした路上生活者。トニー掛けたられた言葉がほんの僅かに歯車を動かす。

 

〈トニーと酒〉

何故トニーはお酒を飲むのか? なんて問いは、作中で何度も示唆されています。飲まなきゃやってられないとキャップへ叫んだ前回やDEMON IN A BOTTLEを見ればそれについて考察するなんて今更かもしれません。しかし今回はあえてその問いについて考えていきたいと思います。

何故トニーはお酒を飲むのか? DEMON IN A BOTTLEと今回ではやや異なる印象を受けます。ジャスティン・ハマーの策略で殺人の濡れ衣を着せられたトニーは、世間からの止まぬ誹謗中傷に大量の飲酒をしてしまいました。しかしそれまでも嗜む程度には飲酒している描写があります。悩み事を抱えると飲酒の量が増えていたようで、DEMON IN A BOTTLEではその延長線なのでしょう。ざっくりと捉えるならストレス解消のために飲んでいる、ということになります。一方インドリーズに裏切られる直前のトニーは、その理由を思考を止めるためと言語化していました。当時はそう言いながら寸前で踏みとどまっていますが、飲み始めてからはそのブレーキもまるで壊れたかのように飲み続けています。そうなるまではDEMON IN A BOTTLEと同様に悩み事のストレス解消のために飲みたかったという感は否めません。しかし今となっては、ストレス解消という理由とは思えないのです。

まるで深呼吸をするように酒を飲み、まるで禁酒の誓いなどなかったかのように酒瓶を離さないトニー。しかし精神の病を患っても、その頭脳明晰さが変わっていないことは何度か描写されています。ならば今の自分の状況を理解していないはずがありません。ひどく酔っている時を除いて。トニーは酒を飲みたかったのではなく、酔いから冷めたくなかったのでは? と私は考えています。今の自分が(あえてこの言葉を使わせていただきますが、)如何に愚かで馬鹿馬鹿しいのか1番わかっているはずです。素面になればそれをより深く理解するはず。トニーがお酒をやめられないのは、そんな恐怖から逃げるためではないでしょうか?