アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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WHAT IF? IRON MAN DEMON IN AN ARMOR

本編では描かれない、または有り得ないような世界を見せてくれるWHAT IF? シリーズ。本編で選ばれなかったもう1つの世界や、そもそも本編とは全く違う新たな世界が描かれたりと、マーベルユニバースに広がる無限の世界を堪能できます。さて、今回紹介するWHAT IF? は、「もしもトニーがDr.ドゥームになったら?」です。ライターはあのDEMON IN A BOTTLEやARMOR WARSを担当したデビッド・ミッシェリーニ氏。本編では絶対に見れない新たなトニーの姿に目が離せません。
f:id:ELEKINGPIT:20220422184323j:imageWHAT IF? IRON MAN DEMON IN AN ARMOR

 

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〈あらすじ〉

今から15年前、ドゥームのルームメイトとなったトニーはゆっくりと友情を築いていた。トニーの高い才能を認めたドゥームは、ある日自らの秘密ラボをトニーへ披露する。この時トニーは知らなかった。これが人生を変える最大の転機であることを。

 

〈もしもトニー・スタークなら〉

ラトベリア(ヨーロッパに位置する架空の小国)からやってきたビクター・フォン・ドゥームは、奨学金で大学に通う優等生でした。ある日、真面目に勉強に励むドゥームの元へ新たにルームメイトとして暮らすこととなったトニー・スタークがやってきます。トニーはスタークインダストリーズのCEO、ハワードの御曹司。親の金で大学に通い、毎日のように遊び歩き、その上誰よりも天才。自分ないものを全て持っているような人間にドゥームは不快感を覚えます。とはいえそこはルームメイト。知的な会話や日常を過ごすうちに、腐れ縁のような友情が芽生えていました。そんなドゥームは、トニーへ地下の秘密ラボまで案内します。大学の施設から設備をこっそり借りて作ったこのラボは、ドゥーム取っておきの研究が進んでいました。しかしどうしても行き詰まってしまい、トニーの力を借りたいというのです。その研究はなんとテレキネシス。成功すれば世界はより大きな発展を見せることでしょう。こんな提案を受けないトニーではありません。2人は協力してテレキネシス発生装置の製作に取り掛かります。2人の天才が挑めば、装置も数週間で完成しました。早速装置の実験を始めようとトニー。ここでドゥームはほくそ笑みます。実はこの装置、テレキネシス発生装置ではなく、互いの人格を入れ替える装置だったのです。ドゥームはトニーを騙して早速装置を起動、計画通りトニーと入れ替わることに成功しました。
f:id:ELEKINGPIT:20220422235618j:imageトニーと人格を入れ替えるドゥーム。2人の人生は大きく別れることとなる。

 

この事件以前の記憶を失い、名も金も全て失ったトニーは、孤独にビクター・フォン・ドゥームとして苦難の日々を過ごし始めます。一方ドゥームは目論見通りトニーの人生全てを盗むことに成功。ハワードも死に、地位も財産も名誉も、これまで自分には縁遠かったものも含め全てを手に入れ、トニー・スタークとして新たな人生をスタートさせます。以来ドゥーム(トニー)は勉学に励み、新たな特許を元に会社を設立。ドゥームインダストリーズとして世界的な企業まで成長させます。一方トニー(ドゥーム)は、スターク社を新たにスターク・ユニバーサルと改名。しかしドゥームインダストリーズの躍進や、トニー(ドゥーム)の強引なやり方に不満を持つものも少なくない様子。世界的な企業ではあるものの、業績はジワジワと悪くなるばかりでした。そんなある日、トニー(ドゥーム)の元にある報せが届きます。ドゥームインダストリーズが新たなエネルギー源、アークリアクターを完成されつつあるというのです。もしアークリアクターが完成すれば、スターク社はこれまでにないほどの苦境に立たされるでしょう。トニー(ドゥーム)は密かに開発していたバトルスーツを身に纏い、アークリアクター破壊へ動き始めます。ドゥーム(トニー)にアークリアクターが破壊されたと報告されるまでそう時間はかかりませんでした。ドゥーム(トニー)は人命救助を目的とし、ラトベリアに古くから伝わる伝説を元にしたアーマーの着用を決意。こうしてアイアンマンvsドクタードゥームの戦いは始まったのです。
f:id:ELEKINGPIT:20220423002823j:image遂に対峙するトニーとドゥーム。まるで運命のいたずらかのように2人は戦っていた。

 

〈ドゥームが目指した理想〉

ドゥームの視点では、トニーはありとあらゆるもの全てを手に入れた人物でした。才能も、地位も、名誉も、家柄も、金も。だからこそトニーの人生を盗み出すことで全てを手に入れようとしたのです。ところがその後のドゥームは自分が描いていた理想とは程遠い人生を歩んでいました。時に手段を選ばない仕事っぷり、ドゥームインダストリーズの台頭で悪化する会社の業績。手に入れたはずの「全て」は徐々に失われてしまいました。一方トニーは、孤独な生活のままアルコール依存症を患ってしまいますが、これをなんと自力で回復。立ち上げたドゥームインダストリーズはラトベリアの生活全体を豊かにするほど大きく発展して行きます。失ったはずの「全て」を徐々に取り戻しつつあったのです。本来ドゥームが目指していた世界は、常にトニーが叶えていたのです。何故ドゥームは自らの理想を叶えられなかったのでしょうか?

作中で示された答えはただ1つ、ドゥームの傲慢さでした。トニーもドゥームもある意味では傲慢ですが、2人の傲慢さはベクトルが違います。トニーの傲慢は、言うなれば「自分は出来るはずなのだから、その才能を他人のために捧げよう」というものです。これは本編(アース616)のトニーのも共通しています。持つ者は持たざる者のために尽くすべき、という考え方です。一方ドゥームは「自分が最も優れているのだから、他人は従うべき」というもの。アークリアクターを破壊しようとしたのが正にこの傲慢さの表れです。自分第一か、他人のために動くのか。あなたはどちらのリーダーを選ぶでしょうか? 一見小さな違いに見える2人の「傲慢」は、互いを衝突させるほど大きな溝だったのです。