アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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AVENGERS(1998)#10〜#11

モーガン・ル・フェイとの戦いから始まり、スコードロンスプリームの登場やキャロルの脱退など、波乱万丈が続く第3期アベンジャーズも遂に10話を迎えました。カート・ビュシーク氏のランはこれからも続きますが、今回はそれまでのシリーズを一旦まとめる回といったところでしょう。当初から謎だった、ワンダの魔法でのみ蘇るワンダーマンの存在と、それに伴う精神的疲労に1度決着がつきます。
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前回はこちらelekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

記念すべき日がやってきた。今日はアベンジャーズ結成を祝う、アベンジャーズ・デイである。ニューヨーク中へファンが集い行われる大規模なパレード。しかしその裏で、アベンジャーズへ復讐の炎を燃やす人物がいた……

 

〈死神の人形劇〉

アベンジャーズ結成を記念して設けられた、アベンジャーズ・デイ。この日だけはヒーロー嫌いな人々もアベンジャーズへ祝福を送ります。ヒーローを一目見るためにアメリカ中からファンが駆けつけており、通りは声援とプラカードに塗れて身動き1つ取るのも難しそうなほど。ニューヨークの五番街はパレード一色に染まり、マスコミもリポーターを派遣し逐一その様子を伝えていました。多くのヒーローもまた、様々な感情を持ちながらパレードを見守ります。パレードが向かう先はニューヨーク市長と共に望む記者会見の場。キャップが登壇し、その言葉を今か今かと待っていたその時でした。横断幕すら切り裂くような悲鳴と現れたのは、死神の能力を持つグリムリーパーでした。アベンジャーズ・デイという記念すべき日に、積年の復讐を果たそうと企てたのです。グリムリーパーは冥界からその魂を呼び寄せ、戦死したかつてのアベンジャーズ達を復活。自らの手駒として現アベンジャーズと戦わせました。
f:id:ELEKINGPIT:20220726022930j:image次々と蘇る元アベンジャーズ。その戦い方も強さも、生前のままだった。

 

一方、現アベンジャーズの中で唯一パレードに不参加だったワンダは、元師匠のアガサ・ハーネスクを尋ねていました。ワンダはモーガン・ル・フェイとの戦い以来、死んだはずなワンダーマンを一時的に蘇らせる力を得ていました。強敵と戦う度にワンダの切り札のような役割を果たしていましたが、ワンダは一時的な死者蘇生という禁忌にも触れかねない力に内心恐れていたのです。師のアガサは、ワンダのヘックス・パワーがワンダーマンの魂を現世と冥界の間に留めているのだと分析。ワンダーマンをどうするかは今後次第と言います。やや腑に落ちないながら、アベンジャーズマンションへ帰るワンダ。玄関扉を開けると、そこには驚くべき光景が待っていました。なんとワンダーマンが死んだはずのアベンジャーズを率い、マンションを占拠していたのです。執事のジャービスも囚われています。動揺しながらも立ち向かうワンダですが、超強力な敵の前には脆くも敗れ去りました。
f:id:ELEKINGPIT:20220726025035j:imageワンダが目撃した、元アベンジャーズによるマンションの襲撃。生前同様チームワークの取れた動きに、1人で立ち向かったワンダは為す術もなかった。

 

拘束されたワンダは、ある可能性に賭けます。朽ちた肉体で復活したかつてのアベンジャーズですが、その中にいるワンダーマンとはヘックス・パワーで繋がりがありました。もしそれが今も残されているならば、ワンダーマンらを復活させた敵とのリンクを断ち切り味方にすることも可能なはず。ヘックス・パワーでワンダーマンとの繋がりを探しながら、他のメンバーと敵とのリンクを断ち切る方法も探ります。ワンダの賭けは成功します。或いは、ワンダの必死な呼びかけが眠っていたアベンジャーズの信念を呼び起こしたのかもしれません。ともかく死んだアベンジャーズと敵のリンクは全て断ち切れ、再び正義の使者として立ち上がらせることに成功したのです。こうなれば敵はグリムリーパーのみ。
f:id:ELEKINGPIT:20220726030011j:imageワンダの命懸けの呼びかけによって蘇るアベンジャーズの信念。正義に目覚めたその時、朽ちたはずの肉体も輝きを取り戻した。

 

ニューヨークの五番街は暗澹たる空気に包まれていました。グリムリーパーの手によってアベンジャーズは敗れ、未知のエネルギーフィールドの中に囚われてしまったのです。救援に駆けつけたファンタスティック・フォーもエネルギーフィールドの破壊に手間取り、誰も手が出せないような状態。記念すべきアベンジャーズ・デイに、アベンジャーズは殺されてしまうのか? 時が経てば経つほど、そんな悪い予感が実現してしまうのではないかと市民の希望を曇らせます。その時でした。上空から現れたのは、死んだアベンジャーズでした。グリムリーパーの支配下から抜け出し、遂に反旗を翻したのです。グリムリーパーの能力で蘇ったからか、未知のエネルギーフィールドすらものともせず中のアベンジャーズを救出。現行チームと死者のチームが手と手を取り合い、アベンジャーズはグリムリーパーと戦います。
f:id:ELEKINGPIT:20220726030947j:imageもう二度と叶わないと思われた、死者と生者の共闘。歴代最強のアベンジャーズがグリムリーパーの野望を打ち砕く。

 

〈最後に必要なもの〉

本作のクライマックス、ワンダは現世と冥界の狭間にいるワンダーマンの魂をこの世に呼び寄せ、正式な死者蘇生を達成します。アガサによる助言はあったものの、これまでは一時的な復活しか出来なかったワンダーマンは何故完全に蘇ることができたのでしょうか?

今作に登場した死者のアベンジャーズは、当初朽ちた肉体で登場しました。生前の面影を持ちながら、ゾンビのような姿には戦慄のようなものを感じずにはいられません。自らが誰か、そしてグリムリーパーによって蘇らされたことを知っていながらアベンジャーズに牙を向いたその姿は、魂を持ちながら支配されているかのよう。しかしワンダの必死な呼びかけで正義の信念を取り戻した時、死者のアベンジャーズはまるで生者のように輝かしい肉体を取り戻しました。グリムリーパーの支配下からも逃れ、まるで本当に蘇ったかのよう。死者蘇生に必要な材料は、大まかに「肉体」「魂」「信念」だと言えるでしょう。

ヘックス・パワーで一時的に蘇っていたワンダーマンには「信念」と「肉体」が欠けていたと言えます。振り返れば、一時的に復活していた時のワンダーマンは暴走状態のようにも見える描写が散見しています。一時的に魂のみを現世に引き寄せられたワンダーマンはかつてのパートナーだったワンダのために戦うマシンとも言える存在だったのです。しかしグリムリーパーの手で肉体を、ワンダの呼びかけで信念を取り戻しました。それまで一時的な復活に戸惑っていたアベンジャーズも、今回の復活は歓迎している様子。今回こそ完全復活と考えてよさそうです。