アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

STAR WARS:DARTH VADER vol4 END OF GAMES

EP4以降のベイダー卿を描く今シリーズもいよいよ最終巻となりました。デス・スターやサイムーン1破壊の責任を負い、降格処分される場面からスタートした今シリーズ。ドクター・アフラなどの新キャラの登場を始め、ルーク・スカイウォーカーの猛追や、前回では帝国軍の裏切り者まで現れ様々な焦点からベイダー卿を描き直そうとする試みが見られました。そんなシリーズの最終巻はある意味で原点回帰と言えるストーリーでした。EP4とEP3の繋がりを感じさせる内容となっており、ダース・ベイダーの内面にグッと迫ります。
f:id:ELEKINGPIT:20230621140805j:image

 

日本語版コミック

 

関連記事elekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.com

 

〈あらすじ〉

遠い昔、はるかかなたの銀河系で……

サイロ-5を追跡せよ! 皇帝直々の命令を受けたベイダー卿は狩りの準備を始める。帝国の背信は最大の重罪なのだ。

反乱軍から逃れたドクター・アフラは、帝国軍に捕まっていた。起死回生のギャンブルに勝つには皇帝の味方になるしかない。

帝国軍の猛追にサイロ-5はほくそ笑む。改めて問おう、ダース・ベイダーは人か、それとも機械か……

 

〈黒衣の鬼神〉

帝国のとある惑星外縁部では、新型スターデストロイヤーの建造が進められていました。スーパースターデストロイヤー、エグゼキューター級に分類されるこの新型戦艦は、これまでのスターデストロイヤーが小型艇にさえ見えるほど巨大なもの。既にほとんどが完成しており、スーパースターデストロイヤーの内部には皇帝の玉座さえ設置されていました。皇帝はダース・モールらかつての弟子達を振り返り、ダース・ベイダーこそ最もダークサイドに相応しい弟子だと評します。だからこそ最適な任務を言い渡しました。帝国の裏切り者を粛清するのです。前回、シュー=トラン戦役にて帝国を裏切り逃げ果せたサイロ-5の処刑を執行するのです。一方ベイダー卿には気がかりなことがありました。ドクター・アフラの所在です。皇帝に隠れてルークを捜索していたベイダー卿は、ドクター・アフラを使い足跡を追っていました。ルークを暗黒面に落とし皇帝を打倒する陰謀を画策していたのです。皇帝に秘密が漏れることを恐れたベイダー卿は、最も捜査力に長けた人物へ捜索を依頼していました。タノス捜査官です。かつてベイダー卿が裏で操った帝国クレジット強奪事件の捜査を担当していたタノス捜査官は、卓越した推理力で真犯人どころかベイダー卿にさえ辿り着きつつあった人物です。タノス捜査官は今回の調査にあたりドクター・アフラの直近の行動履歴からベイダー卿との秘密の繋がりやその目的、そしてアナキン・スカイウォーカーの現在まで突き止めていました。当然ドクター・アフラの所在も把握している様子。アナキンの名を聞いたベイダー卿は激怒、ドクター・アフラの居場所を話した途端にタノス捜査官を殺害します。そしてドロイドにドクター・アフラ捕縛を言い渡し、自身は皇帝の任務を果たすため動き始めました。
f:id:ELEKINGPIT:20230621154541j:imageタノス捜査官を殺害するベイダー卿。死んだはずの人物の名に、暗黒卿は未だ強く執着する。

 

ベイダー卿の部隊は追跡の末、サイロ-5の艦隊の居場所を割り出していました。そうなれば攻撃しない手はありません。早速自らの部隊を引き連れ、鯨艦と呼ばれる艦隊へ砲火を浴びせます。ところが敵はこの攻撃を予見していたのか、すぐさまハイパースペースへ突入する準備を始めました。ハイパースペースジャンプが行われ、もう一度行方を眩ませば再度追跡することは困難でしょう。ベイダー卿は敵を逃さないため猛犬のように食らいつきます。なんとTIEインターセプターを敵艦へ特攻させ、無理やり内部へ侵入したのです。自身の部隊は振り切られたようですが、ベイダー卿はお構い無しにサイロ-5のいるブリッジまで歩き出します。ところがサイロ-5側もベイダー卿が強襲することは予測済み。改造人間の部下達が準備万端で待ち構えていました。改造手術を受けた猛獣を時はなったのです。恐竜のように巨大なこの猛獣は、神経系を改造されており、喉元を切りつけても襲いかかるほど獰猛かつ痛覚を麻痺させられていました。フォースで首を絞めても怯まない猛獣を、ベイダー卿は頭部を貫くことであっさりと撃破。敵が放つブラスターをフォースで捻じ曲げ、敵自身に当てることであっという間に倒してしまいました。ところがサイロ-5はこの状況さえ予見していたようです。鯨艦のジャンプ先は、なんとスーパースターデストロイヤーの目と鼻の先でした。自身らが脱出し安全を確保した後、スーパースターデストロイヤーへ母艦を突っ込ませようとしたのです。同刻、ドクター・アフラはトリプルゼロらドロイドの手でスーパースターデストロイヤーへ連行されていました。このまま死よりも恐ろしい拷問が待っているのでしょうか。ところがその時、スーパースターデストロイヤー内部へ神経ガスがばら撒かれます。戦艦内部の人間全員が意識を失っていると、サイロ-5が現れました。なんとサイロ-5はスーパースターデストロイヤーを強奪、皇帝を人質にしようとしていたのです。トリプルゼロの命令を上書きしていたドクター・アフラは解毒を施され、即座に今後の動きを考えます。このまま帝国軍に殺されるならば、むしろ皇帝を助けて味方になってもらうのは? ベイダー卿の秘密も握っていることですし、ドクター・アフラは皇帝救出のために動き始めました。
f:id:ELEKINGPIT:20230622014500j:image自身が助かる道を切り開くため、皇帝救出を計画するドクター・アフラ。生き意地がサイロ-5の計画を少しずつ綻ばしていく。

 

ブリッジでスーパースターデストロイヤーを予定していた航路に向かわせようとしていたサイロ-5ですが、ここでメインエンジンが次々と停止していると報告を受けます。なんと鯨艦の特攻で死亡したと思われたベイダー卿は、死亡どころか無傷でスーパースターデストロイヤーへ乗り込みメインエンジンを損傷させ続けていたのです。予想外の攻撃にサイロ-5は苛立ちを隠せません。ベイダー卿を倒そうと攻撃した部下も倒され、改造人間部隊はサイロ-5を残し全滅してしまいました。迫るベイダー卿。サイロ-5は生き残るため、不本意ながら最後の切り札の使用を決意します。半身半械の現れてから約20年、帝国軍科学技術部としてベイダー卿の義手義足を作り続けてきたサイロ-5は、万が一のためにある装置を取り付けていました。これが露呈し無効化される可能性もあったでしょう。手元にあるスイッチを何度押しても不発に終わる可能性もあるでしょう。しかしベイダー卿のメンテナンスは今までほとんどサイロ-5が担当してきました。言うなればこれはベイダー卿無効化装置。ベイダー卿に取り付けられた機械の数々を無効化する装置です。ベイダー卿の進撃に、サイロ-5はこの最後の切り札を使いベイダー卿を機能不全に陥らせてしまいました。帝国の拳とさえ恐れられたベイダー卿をこうもあっさり倒せるとは。サイロ-5は勝利を確信します。その傍ら、身動きの取れないベイダー卿は目の奥で約20年前の光景を見ていました。師として、そして親と慕っていたオビワンに四肢を切り落とされたあの瞬間を。それが原動力になったのでしょうか。フォースにできないことは無い。そう言って動けないはずのベイダー卿は立ち上がり、サイロ-5の胸元を貫いていました。
f:id:ELEKINGPIT:20230622020500j:imageサイロ-5を殺したベイダー卿。あの日の憎悪を燃やし、暗黒のフォースで不可能を可能にしてみせた。

 

〈憎悪の炎〉

今作で最も印象的なシーンといえば、やはり機能不全に陥ったベイダー卿の脳裏に浮かぶ心象風景でしょう。ムスタファーの決闘から始まり、ここから逃げようと諭すパドメを絞殺するたった数ページのシーンです。EP4以降のベイダー卿の心根を知る機会は多くなく、今作のそれは貴重なシーンと言えるでしょう。そんなベイダー卿の心象風景ですが、中でも私の目を引いたのがムスタファーの決闘シーンでした。オビワンに四肢を切り落とされ、愛していたと告られる場面。ここでアナキンは映画にないセリフを言います。「嘘つきの臆病者め! もし僕を愛していたなら、僕を殺していたはずだ」これ程ベイダー卿の苦しみを表した言葉はないでしょう。ベイダー卿は心のどこかでずっと、あの時いっそ死んでしまえばと考え続けていたのです。またオビワンを殺したことに怒る若き日のアナキン・スカイウォーカーと戦う光景も描かれました。オビワンを殺したことさえベイダー卿は大きな後悔の念を抱えていたことが分かります。後悔と苦しみ。ずっとベイダー卿の中でアナキン・スカイウォーカーは生き続けていたのです。では、何故ベイダー卿はあれほどオビワンを憎んでいたのでしょうか? それまで私は単に自分を負かした相手だからと考えていました。しかし今作を読むとそれは違うように思えてなりません。ベイダー卿は、あの時自分を殺さなかったからこそオビワンを憎んでいるのではないでしょうか? この苦しみも不自由さも、全てオビワンがもたらしたのだと。いっそあの時死んでいたら。死なせてくれなかった。身体に焼き付いた痛み以上に、暗黒卿として苦しみ続けることに憎悪を感じていたのでしょう。オビワンを憎み続けるのは、ダース・ベイダーアナキン・スカイウォーカーだからこそなのです。