アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

MENU

ULTIMATUM FANTASTIC FOUR REQUIEM

アルティメットユニバースに最大の激震を走らせたアルティメイタム。悲劇が起きたのはとうぜんX-Menだけではありません。今作はアルティメイタムのその後を描いたファンタスティック・フォーのタイイン。家族のように固い絆に結ばれたヒーローチームは、未曾有の天変地異の後何が起きたのでしょうか?
f:id:ELEKINGPIT:20230729151126j:image

 

関連記事elekingpit.hatenablog.comelekingpit.hatenablog.com

 

※本作には津波の表現があります。当記事は作品の表現を尊重し津波の表現を記載しておりますが、苦手な方はブラウザバックを推奨します。

 

〈あらすじ〉

ニューヨークが津波に飲まれ、摩天楼の麓は地獄と化した。この空前絶後の大事件は、やがて栄光のファンタスティック・フォーにも亀裂を与える。どのチームよりも絆に溢れたヒーローチームの行く末とは?

 

〈求めていた言葉〉

ニューヨークを津波が沈めた時、ジョニーは父と共にいました。父はジョニーの今後を心配し、それについて口論になっている途中でした。話を遮るように窓ガラスを割る濁流。これがジョニーと父の永遠の別れとなってしまいます。一方スーザンへプロポーズを行おうとしていたリード。指輪を用意し、誰よりも最高の言葉を贈ろうとした刹那でした。あの津波が来なければ。あるいはせめて、もう少し遅く来ていれば。ファンタスティック・フォーはこの津波を止めるため、黒幕を突き止めるため、バラバラになって行動を始めます。スーザンとベンは現世に現れた地獄の悪魔ドルマムゥと戦っていました。津波をフォースフィールドで止めていたスーザンはベンに支えられ意識を回復、すぐさまヒーロー活動を再開させたのです。ドクターストレンジさえこの悪魔に殺される中、2人は驚くべきものを発見します。なんと行方不明となっていたジョニーがドルマムゥのペンダントの中に閉じ込められているではありませんか。ジョニーはあれ以来地獄に囚われ、その能力をドルマムゥに利用されていたのでした。相手は世界最高の魔術師が勝てなかった悪魔。ならば人類が蓄積してきたもう1つの魔法、科学で倒すまでです。2人の連携攻撃はもはや手慣れたものでした。隙を与えず有無を言わさずドルマムゥの急所をつき、ドルマムゥでさえあっという間に倒されます。どうにかジョニーを救出することに成功したのです。ファンタスティック・フォーの拠点でもあるバクスタービルに戻る3人。しばらくしてリードも帰ってきました。リードはスーザンが津波を止めている間、ジョニーが地獄に囚われている間、2人がドルマムゥと戦っている間、単独で黒幕を突き止めようと動いていたのでした。
f:id:ELEKINGPIT:20230731081046j:image悪魔に囚われたジョニーと悪魔に立ち向かうスーザンとベン。そこに唯一、リードの姿はなかった。

 

黒幕であるマグニートーを倒し、アルティメイタム事件は解決しました。しかし事件が奪ったものはあまりにも多すぎました。ニューヨークには未だ生々しい傷跡が残り、いやでもあの日のことが思い出されます。ファンタスティック・フォーは揃ってスーザンとジョニーの父の葬儀に参加していました。津波に飲まれる直前まで口論し、心無い言葉を放ってしまったことを公開し続けるジョニー。同じ家族として寄り添おうとするスーザン。リードが懐から指輪を取りだしたのはまさにそんな時でした。指輪に込めた愛の言葉を囁き、人生を共に過ごそうと忠誠を誓い始めます。リードにとって、それは寂しさを埋め合わせようとしたのでしょう。あるいは悲しみさえ自身の愛で包み込んでしまおうとしたのでしょう。しかしその言葉の数々は、スーザンの求めていたものではありませんでした。ボタンをいくつか掛け違えたように2人はすれ違います。スーザンはリードのプロポーズを断り、ジョニーと共に去ってしまいました。そしてベンも、ずっとFFを支えてきた両肩はボロボロだと言い残して去っていきます。津波はやがて、家族のように固い絆さえ砕いてしまいました。ジョニーはフランスへ、ベンはSHIELDへ入隊、スーザンはバクスタービルで研究を続け、リードは1人路頭に迷ってしまいました。栄光のヒーローチーム、ファンタスティック・フォーはこうして解散します。
f:id:ELEKINGPIT:20230731212855j:imageそれぞれの道を歩む元FF。いくつかボタンを掛け違えた結果、最悪の悲劇へと行き着いた。

 

〈家族だから〉

アルティメイタムという未曾有の大事件の末、解散という道を選んだファンタスティック・フォー。あと1つ、何かの要素が少しでも違えば解散には至らなかったのではないかと考えさせられるばかりです。一方で解散に至った要因の一つに、リードの行動があるのではとも思ってしまいます。ファンタスティック・フォーは家族のように結ばれた固い結束と絆で名を馳せたチームです。だからこそ今作では、家族だからこそ絆に亀裂が走ったように思えます。リードはアルティメイタムが始まった瞬間から1人で黒幕を追いかけていました。家族が危機に瀕している時にもです。事件が起きた時、ヴィランを追いかけ事件を解決するのは勇ましいものです。ヒーローの物語は大半がそのような構成でしょう。しかしリードは単なるヒーローではありません。危機だからこそファンタスティック・フォーという家族に寄り添うべきだったのではないでしょうか? もちろんこれは結果論かもしれません。しかしヒーローはヒーローというアイデンティティだけでは生きていないはず。まずは身近な人々へ寄り添うことも同時に大切することが、ヒーローであると同時に家族の役割だと私は思います。