アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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YOUNG AVENGERS & RUNAWAYS CIVIL WAR

超人登録法をめぐる内戦は、ベテランヒーロー達で留まる話ではありません。今作は当時の若手ヒーロー代表であったヤングアベンジャーズとランナウェイズに焦点を当てたシビルウォーのタイインです。自由と自立を望む若者は、登録法とどのように向き合うのでしょうか?
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日本語版関連作

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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※本作は日本語版が出版されていますが、新品での入手は困難となっております。

 

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〈あらすじ〉

ランナウェイズの身に起こったのは予想外の出来事だった。超人登録法が若きヒーローへ牙を剥いたのだ。一方ヤングアベンジャーズは、超人登録法反対派としてランナウェイズを助けるために動き出す。そして超人登録法は別次元の戦士さえ呼び起こした!

 

〈この世界で〉

久しぶりのマーケットを楽しむランナウェイズ。あちこちの陽気に釣られて思わず目移りしそうです。ところがマーケットの入り口付近でトラブルが起こった様子。マーケットを守るため派遣されたSHIELDの特別エージェントと客が言い争っています。やがて客はコスチュームをまとい暴れ始めたではありませんか。ヴィランです。ランナウェイズはすぐさま駆けつけ、ヴィランの退治に成功します。ところが助けられたSHIELDのエージェントはどこか申し訳なさそうな様子。それもそのはず、息をつく暇もなくあっという間にSHIELDの大型ヘリコプターが空を覆っていたのです。その上ランナウェイズを狙っている様子。助けられた特別エージェントは、ランナウェイズが超人登録法に従っていないことを知ると密かにSHIELDへ伝えていたようです。そうとは知らないランナウェイズは味方であるはずのSHIELDから攻撃を受け、1人が重傷を負いながらなんとか逃げ切ることに成功します。SHIELDが何故? 答えは隠れ家のTVが語っていました。超人登録法が今日施行されたのだと。一方ヤングアベンジャーズは、SHIELDがランナウェイズを取り逃したという報せを聞き身を案じていました。あの様子から、恐らく超人登録法について多くは理解できていないはず。もしかしたら味方に引き込めるかもしれない。キャップの反対を押し切り、ヤングアベンジャーズは密かにランナウェイズのいる西海岸まで移動します。ランナウェイズを助けるため、とうとう隠れ家の前まで来たヤングアベンジャーズ。しかしランナウェイズはこれを警戒します。ヤングアベンジャーズを知らないランナウェイズにとって、アベンジャーズのコスプレをした若者がSHIELDと同じ様に攻撃しに来たのではないか? 可能性が0ではない以上、警戒を解くわけにはいきません。ランナウェイズはヤングアベンジャーズの言葉に耳を貸さず、やがて両者は戦うこととなります。結果は両者痛み分け。ところが両チームとも、その表情は晴れやかでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240127200725j:image戦い終えたヤングアベンジャーズとランナウェイズ。拳を交えることで徐々に意気投合していた。

 

拳を通じて絆を育んだヤングアベンジャーズとランナウェイズ。そのまま和解するだろうと思われた矢先でした。高速で動く人影が両チームを突如襲撃したのです。切り立った岩の先から見下ろしてきたのは、圧倒的な戦闘力を持つ人物でした。SHIELDはキューブと呼ばれる秘密監獄に、別次元からやってきたクリー人「ノォ・ヴォア」を洗脳し解き放ったのです。キューブの管理人が反対派を大量に捕らえるために編み出した卑劣な作戦でした。ヒーローチーム2つを同時に相手し圧倒する超戦闘能力。これでは勝ち目がありません。結局両チーム共にメンバーの数人が囚われ、逃げられてしまいました。仲間を取り替えそうにもどこへ行けばいいのかさえ分かりません。一方ヤングアベンジャーズのヴィジョンは、僅かなヒントから敵の正体を特定。更にその正体からキューブが本拠地であることを突き止めます。ならばあとは、仲間を取り戻すためキューブへ乗り込むのみ。大勢の若きヒーローがキューブを襲撃します。両チーム共にキャップから将来を期待されている実力者です。キューブの警護兵らでは到底敵わず、見事に仲間を取り返します。完全に意気投合したヤングアベンジャーズとランナウェイズ。戦いも終わり、ヤングアベンジャーズはランナウェイズへ反対派として正式にこちらへ来ないかと勧誘します。ところがランナウェイズはこれを拒否。賛否どちらにも縛られない道を選ぶのでした。
f:id:ELEKINGPIT:20240127202627j:image別れ際の勧誘を断るランナウェイズのニコ。「アドバイスを1つ。世界が狂った時はそう……逃げ出しちゃいな」

 

〈青さゆえに〉

登録法の賛否に囚われない道を選んだランナウェイズ。読後感も合わせて、ティーンヒーローの青春の一幕はハツラツとしたものに感じました。しかしそれだけで終わらせては、本作がシビルウォーのタイインである意味がありません。本筋では結局ほとんど触れられることのなかったシビルウォー。しかしだからこそ浮かびあがってくるのは、反対派の問題点でしょう。

本作で目立ったのは、若者の「自分勝手な行動」でしょう。ヤングアベンジャーズはキャップの命令を無視してランナウェイズを助けに言っていますし、ランナウェイズも超人登録法を無視しただけに過ぎません。SHIELDに攻撃された時、ランナウェイズはこれを理不尽だと激怒していました。実際登録法を破ったヒーローを問答無用で攻撃する是非は置いておいて、ランナウェイズは超人登録法を「大人の決め事」として無視。更には気に入らないからとヤングアベンジャーズと共に反故するまでに至ります。法の是非を問わず、反故する以上犯罪者になることに変わりありません。リスクと覚悟を天秤にかけた上で反対するならまだしも、特にヤングアベンジャーズはキャップに憧れ反対派に回ったチーム。そんなヤングアベンジャーズがランナウェイズを反対派に勧誘し、ランナウェイズは登録法が気に入らないと無視を決め込みます。これでは天秤にかけてさえいません。トニーの危惧していた「キャップに憧れ反対派に回るヒーロー」とはこの状態を指すのでしょう。