アメコミを読みたいらいとか

MARVELやSTAR WARSなどのアメコミを、ネタバレ有りで感想を書くブログです。更新頻度は気分次第。他にも読みたいものを気まぐれに

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NO END IN SIGHT

クロスオーバー作品の醍醐味の1つと言えば、やはりヒーロー同士の絡みでしょう。普段から親交のあるキャラ同士の意外な一面が見える時や、そもそも普段あまり交流のないキャラ同士の会わなど楽しむポイントは多種多様です。さて、今作はX-Menとアイアンマン、ノヴァのクロスオーバー作品。全員が違うチームに属しており、普段はあまり交流を見かけないヒーロー達が一斉に会します。わずか3話で完結したミニシリーズですが、その密度は話数以上のボリュームを感じさせるほどです。
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〈あらすじ〉

スコット・サマーズがさらわれた! 学園の生徒たちは命をかけて誘拐犯の正体と行方を追う。一方ノヴァはうなだれながらスコット・サマーズを見つめる人物を発見していた。この人物の目的とは? やがてこの誘拐事件は、戦争の引き金へとなりつつあった。

 

〈誰がもたらしたか〉

その日、スコットら率いる学園の生徒たちはブラックバード(X-Men専用の飛行機)を操縦する訓練を行っていました。不慣れな操縦に危うい場面もありましたが、スコットの指導により難を逃れます。しかしその時、機内が激しく揺れ始めます。安定姿勢へ入った直後にです。揺れは激しさを増すばかり。とうとう機体は制御を失い墜落してしまいます。幸い全員に怪我はなかったようですが、危機はここから始まります。なんと機体の外には武装した謎の集団が立っているではありませんか。あの集団が機を墜落させたに違いありません。問題はその戦闘力でしょう。今回生徒たちを引率していたのはスコットのみで、経験不足な生徒たちもある程度戦わねばなりません。敵は恐らくプロ中のプロ。オプティック・ブラストさえひらりと避ける敵に苦戦することは必至。スコットは生徒たちを避難させる時間稼ぎをしようと立ち向かいますが、どうやら敵の目的はミュータントの子どもたちでは無いようです。大勢でスコットを囲む敵集団。生徒たちが敵の真の目的に気づく頃には手遅れでした。敵はあっという間にブラストを無効化するヘルメットを被せると、スコットを拘束し生徒たちの目の前で連れ去ってしまいます。学園に戻った生徒たちX-Menと共に早速スコットを奪還する作戦を考案しました。スコットを攫った敵は外見やその目的地から、地球外の何者かであることが推測されます。そこで生徒たちは地球外の脅威から地球を守る組織SWORDに潜入、データベースから敵の正体を突き止めることにします。SWORDはいつも大量の隊員を求めているため生徒たちならば潜入は容易でしょう。生徒たちは早速SWORDへ潜入。データベースへアクセスする……はずでした。しかしそこには意外な人物がいるではありませんか。なんとアイアンマンが協力を申し出たのです。トニーいわく敵の首魁はかの有名な賞金稼ぎデスロック。トニーはデスロックと戦った経験があり、拠点までの案内を買ってでます。
f:id:ELEKINGPIT:20230807194326j:image協力を申し出るアイアンマン。潜入していることがバレるとタダでは済まないが……?

 

SWORD隊員に扮する生徒たちは、トニーの操縦する宇宙船に乗りデスロックの基地まで向かっていました。どうやらトニーは生徒たちの正体に気付いていない様子。和気あいあいとした会話も交わし、いよいよデスロックの本拠が見えてきました。デスロックはとある惑星のクラブを根城にしているようで、仮にここにいなくとも必ず動きを見せるでしょう。早速調査を始めようとする一行。ところが今度は傭兵軍団が立ち塞がります。この傭兵軍団、どうやらアイアンマンを逆恨みしているようで、生徒たち含めしつこく攻撃しようとします。ならば応戦するまで。クラブはあっという間に戦場になります。敵の戦闘力はデスロック率いる軍団に比べれば大したことはありません。敵の首魁は不利を悟ると罵り声と共に逃げようとする始末。この乱闘騒ぎはトニーたちの手ですぐに制圧されます。更に生徒たちは、混乱に乗じてデスロックの目的やスコットの居所を掴みました。デスロックはモナークなる人物に雇われたに過ぎず、既に引き渡しは終わったこと。そしてさらわれたスコットは人違いで、本当は弟をシーアーへ売ろうとしていたことが判明。これはデスロックへの伝令ミスで、恐らくモナークはスコットの扱いに困り果てていることでしょう。もしモナークが凶悪な人物ならさっさと始末してしまう可能性も否めません。生徒たちは急ぎモナークの住む惑星へと向かいます。
f:id:ELEKINGPIT:20230808080231j:image罵声で喚く敵を倒すアイアンマン。そこで語ったのは、トニーのヒーローとしてのあり方だった。

 

宇宙を駆けるノヴァは、ある日突然助けを求める声を聞き宇宙船に乗り込みました。そこにはヘルメットを被せられ拘束されたスコットと、うなだれ震える人物がいるではありませんか。この震えている人物は自らをモナークと名乗ります。モナークはただ絶望していました。一発逆転の起死回生を狙い「サマーズ」を誘拐、シーアー帝国へ売り払うはずが、まさか人違いだったなんて! その上デスロックは依頼料として有り金のほぼ全てを奪い去ってしまいました。このままでは、この計画を立てた大元の依頼者からの信頼さえ失ってしまうでしょう。これでは人生の終わりだ。ノヴァはひとまずモナークを説得し、大元の依頼者を訪ねるように言います。ノヴァ達がその惑星に着く頃、既にX-Menがスコットを取り戻しに来ていました。X-Menとしてはスコットを誘拐したのですから、モナークへ強い敵意を向けるのは当然のこと。ノヴァは穏便に済ませようとしますが、そう簡単にはいかないようです。両者が睨み合いを続ける最中、更なる火種が現れます。SWORDです。スコット率いるX-Menは当時革命活動を行っており、一般的にはテロリストと認識されていました。トニーは共に連れだったSWORD隊員がそんなX-Menの生徒たちだったと知り、逮捕するためSWORDと共にやってきたのです。睨み合いで保たれていた均衡は一瞬にして崩れました。
f:id:ELEKINGPIT:20230808133522j:imageついに相対するX-Men、アイアンマン、ノヴァ。自衛軍も加わりその場は混沌と化す。

 

〈関わったものとして〉

ヒーローチームやヒーローを大勢引っ掻き回した本作のヴィランモナーク。この事件を引き起こした原因がデスロックへの伝達ミスだったというのはある意味驚きです。そんなモナーク、今作ではただ嘆き続ける姿が多く描かれていたように思います。思わず現実と重ねたくなってしまうようなキャラクターですが、ここで描かれたヒーローとモナークでは何が違うのでしょうか? 結論から先に言うと、私は「当事者意識の有無」と「行動力」だと思いました。極端な例えをしましょう。ある日突然あなたの家に隕石が降ってきたとします。あなたの家は真っ赤に燃え上がり、あなたは大切なものを失ってしまいました。このような不条理に大して「自分のせいだ」となる人はまずいないでしょう。隕石の落下なんて自分では予想できませんし、予想出来たとしてどう対処しろというのでしょう。しかし家を失ったあなたはこの先行動しなくてはなりません。この天災にあなたはなんの責任もありませんが、被害を受けた当事者ではあるのです。当面の寝床の確保はもちろん、家の跡地をどう処理するか(新しく家を建てるか、土地を売ってしまうか等)の問題に取り組むのは落ちてきた隕石ではなくあなたです。さて、この話で重要なのは、例え自分にどれほど責任がなくとも当事者であるならば何か行動を起こすべき、ということです。今作のモナークは自分のミスが原因でただ自分を嘆くばかりのキャラクターとなっていました。ミスをした過去を嘆いてもどうにもなりません。そのミスにどれほど自分の責任が乗っているかはひとまず脇において、当事者であることは間違いないので、大元の依頼者に説明をするなり行動をとるべきだったのは間違いないでしょう。今作だけでも、生徒たちは攫われたスコットを探すためSWORDに潜入し敵の正体を探るという大胆かつ危険な行動に出ました。ノヴァはたまたま居合わせただけのモナークに付き合い、依頼者のいる惑星まで同行しました。トニーは生徒たちの正体を見破った後、逮捕しようとSWORD隊員を引き連れました。何も行動しなかったのはモナークだけなのです。少々説教臭い内容となってしまいましたが、モナークのように行動できない方は少なからずいるでしょう。ヒーローのように行動することは理想ですが、それほど難易度が高いこともまた事実。まずは少しづつ1歩を踏み出したいものです。